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はじめに
2019年3月22・23日の2日間,ドイツ・マンハイムにおいてPro Medicoによる国際会議が開催されました。Pro Medicoとは今年で設立28年を迎える団体で,特に代替療法を中心とした68コースもの教育プログラムを産科医師や助産師に提供しています。欧州の中でも特にドイツ語圏の国々(ドイツ,スイス,オーストリア)においては,助産師や産婦人科医師に鍼灸などの補完療法教育を提供する機関として知られています。
この団体は「Geburtshilfe im Dialog(産科領域公開討論)」と呼ばれる国際会議を毎年開催しており,今年は初の試みとして通常の会議に加え,産科領域に限った東洋医学会議「TCM meets TJM im Dialog(中医学と日本伝統医学公開討論)」との合同開催となりました。今後は2年ごとに合同開催予定です。
この合同会議は初めてにも関わらず,ドイツ語圏であるドイツ,スイス,オーストリアを中心に,オランダ,ベルギー,スペイン,イタリア,ルクセンブルグなどさまざまな国からの参加者があり,産科医療関係者の東洋医学への関心の高さをうかがわせました。参加人数は過去最大の総勢3010名を記録し,その内訳は助産師75%,産科医師20%,セラピスト,学生,その他が5%でした。日本からも産婦人科医師や鍼灸指圧師の方々が参加し,発表や講義,実技などを披露されて大変な反響でした。産科領域部門では,神奈川県横浜市にあるよしかた産婦人科医院の善方裕美医師と筆者がシンポジストとして参加し,日本の助産や産科の現状について話しました。
イギリスのミシェル・オダン医師がゲストスピーカーのお一人として「A Turning Point in the History of Birth」という題目で講演され,産婦の脳の特定部位機能が分娩時には一部抑制されるため,その状態を邪魔してしまうような刺激は避けられるべきであること,本能が十分に発揮できる環境を整えることの重要性について何度も強調して語られました。オダン医師が演壇に立たれた瞬間と講演終了時,聴衆からの喝采と鳴り止まない拍手で包まれました。
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