連載 りれー随筆・402
予期せぬ妊娠に葛藤する女性に歩みよる支援
赤尾 さく美
1,2
1一般社団法人ベアホープ
2一般社団法人全国妊娠SOSネットワーク
pp.560-561
発行日 2018年7月25日
Published Date 2018/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201054
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思いがけない妊娠,葛藤する女性
「風俗の仕事で妊娠しちゃって。こんなこと誰にも言えなくて……」「結婚している男性との間で妊娠してしまって……」「もうすぐ産まれる頃だとは思うんですけど病院とか行けてなくて……」。私が仲間たちと活動する一般社団法人ベアホープ*1では,妊娠して悩んでいる女性たちからの相談を日々メールや電話で受けています。ときには病院の医療ソーシャルワーカーや児童相談所から紹介されてくることもあります。ベアホープでは,その女性の複雑な背景を聞き取り,社会資源を利用しながら自分で育てる道,養育里親や乳児院という方法,そして特別養子縁組という方法についてなど,福祉的な情報提供をしながら,その女性と子どもにとって最善の道を一緒に考え,必要である場合は特別養子縁組の仲介をしています。
予期せぬ妊娠に葛藤し,ようやく相談してくる女性たちの中には,貧困,家族関係の崩壊,被虐待,DV,依存症,若年,発達障害,性風俗など,重い課題をいくつも抱えている方をよく見ます。「こうすれば一発解決!」というような結論の出ない,その人の背負ってきた苦しい人生を垣間見ると,この妊娠がきっかけで支援につながることができてよかったと思える時も多々あります。一方,そういった女性たちは,医療・福祉・保健分野の支援にはつながりにくく,また支援から切れやすい方でもあるのが現実です。
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