実践報告
乳腺炎を発症し,母乳育児継続に戸惑う母親へのかかわり—切開に至った事例と切開を回避した事例の検討から
俵 佐和子
1
1澤崎産婦人科
pp.496-501
発行日 2016年6月25日
Published Date 2016/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200508
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はじめに
母乳育児は母親にとって,育児行動のなかでも大きなウエートを占めていると考える。これまでも,母乳育児支援は看護・医療・複合的な立場から研究されている1,2)。
乳腺炎などのトラブルが発生しても,その原因を観察により的確に看護診断し,患者に適した方法で支援することで,母乳育児が継続可能であるという結果もある3-5)。一方,思うように授乳ができないことから,「子どもに拒否されている」「母親として失格」といった思いに至る母親もいる。そこに乳腺炎などのトラブルが加わると,そうした思いは増大する。母乳育児継続を主とした支援は多くみられるが,乳腺炎の苦痛から継続か否かの岐路に立った時の決定についての支援はあまりみられない。
そこで,今回,乳腺炎を発症し継続か否かの岐路に立った母親の支援を振り返り,トラブルが起こった時の決定に影響する課題と具体的な看護実践場面でのケアを検討し,育児そのものが楽しくできるようになった援助を報告する。
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