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トライ! 看護にTBL—チーム基盤型学習の基礎のキソ
吉田 塁
1
1東京大学
pp.472
発行日 2016年6月25日
Published Date 2016/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200502
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今,日本の教育は変わりつつあります。授業というと,教員が一方向的に話し,学生は眠そうにその話を聞く,というイメージがあるのではないでしょうか? それが,今は,学生同士や学生と教員が対話して理解を深める双方向な授業に変わりつつあります。そのような,学生が受動的ではなく能動的に行なう学習はアクティブラーニングと呼ばれており,適切に導入されれば高い効果を示すため,注目されています。ただ,アクティブラーニングという言葉が先行してしまい,無目的に話し合うだけ,発表するだけ,といった見た目がアクティブなだけの授業が少なからずあるのが現状です。
そのようななか,本書は,本当の意味でのアクティブラーニングを実現するための方法であるTBL(Team-Based Learning)に関する情報を提供しています。TBLとは文字通り,チームを中心とした学習方法であり,授業前にはテーマに沿った知識を自習し,授業内では,まず事前学習の内容に関するテストをして知識の確認をした後,実際の看護現場における応用問題に5〜7名のチームで取り組む方法です。例えば,妊娠に影響を及ぼす疾患のある女性へのケアに関する基礎知識を授業前に学び,授業内では,まずその知識に関するテストをした後,具体的なケースにおいてどのようなケアをするべきかをチームで知識を活用して考えます。このように,具体的な事例をベースにしていることで,ただ知識を漠然と覚えるのではなく,実際の看護と知識を結び付けることができます。また,チームで問題に取り組むことで,医療現場では重要な協働する力が身につきます。
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