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はじめに
イギリスでは,1993年のChanging Childbirth*以降,助産師主導の新しいバースセンターが相次いで開設され,人々の関心が高まっている。出産しようとする女性たちには,分娩場所として次の4つの選択肢が提示されている。
1.Home(家)
2.Freestanding Midwifery Unit(以下,FMU)
ローリスク女性のための助産師主導施設で,地理的に病院から離れた場所にあり,緊急時の搬送は車(あるいは救急車)が使用される。
3.Alongside Midwifery Unit(以下,AMU)
ローリスク女性のための助産師主導施設で,病院と同じ建物あるいは敷地内にある。緊急時の搬送は,車いすかストレッチャーである
4.Obstetric Unit
ハイリスクに責任をもつ産科医とローリスクを担う助産師によるチームがケアを提供する病院部門。
イギリス全体ではなくEnglandの統計であるが,各バースセンターの主たる分娩介助者分類による場所別出産数は次の通りである。2012〜2013年のEngland総数は67万1255,その内訳は,助産師・その他主導8万2786(12.3%),産科医主導30万4493(45.4%),GP2185(0.3%),混合20万2278(30.1%),不明7万9513(11.8%)1)。
また,FMUに関する2011年の記事2)によると,FMUでの出産数は年間約1万5500[内訳はEngland(1万2000),Wales(1500),Scotland(1550),Ireland(400)]で,増加傾向にあるとのこと。また,施設数は,England(60),Scotland(22),Wales(13),Northern Ireland(2)となっている。
現在,イギリスの分娩施設のほとんどはNational Health Service(以下,NHS)によって運営されている。NHSとはイギリスの保健医療制度のことで,リハビリテーションや疾病予防も含めた保健医療サービスを原則無料で受けることができる制度である。NHS運営の施設での分娩,あるいは妊婦健診や産後ケアもすべて無料である。実際の運営は,全英に約250あるトラストによって地区ごとに行なわれている。
今回,ロンドン市内および周辺地域のFMU2か所とAMU4か所を見学したので紹介する。見学時期は2014年3月下旬である。
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