連載 FOCUS
バースセンターの現況と展望
森田 知子
1
,
近藤 由理香
1
,
岩下 光利
2
1杏林大学医学部付属病院総合周産期母子医療センター産科病棟
2杏林大学医学部付属病院産科婦人科
pp.1154-1159
発行日 2016年12月10日
Published Date 2016/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208916
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産科医の立場から
周産期医療を取り巻く環境は厳しさを増している.その最も大きな原因は新規産科医の減少にあり,これがために分娩施設の集約化による産科医の拠点病院への集中が企図されたが,特に地方においては分娩施設の集約化は限界に達している.各地に点在する周産期センターはハイリスク妊娠・分娩を管理することを最大の目的とし,少ないといえどもある程度の産科医が確保され,医療安全の確保に最大限の配慮がなされてきた.しかし,周産期センターでは,分娩施設の減少からハイリスクばかりでなく,ミドルリスクやローリスク妊娠の取り扱いも行わなければならず,女性医師の比率が高いこともあり,慢性的なマンパワー不足に直面している.当院の周産期センターでも産科医の過重労働は解決すべき重要な課題である.周産期センターの母体胎児集中治療室(M-FICU)では3対1看護基準により,多くの助産師が配置されているが,産科医の労働環境改善のために助産師パワーをもっと活用することは誰しも考えることである.助産師の産科医療へのより積極的な関与は行政も推奨しているところであり,われわれの施設では助産師外来,母体搬送コーディネーター,院内バースセンターと,3つの助産師活躍の場を設けてきた.これらの試みは産科医にとってプラスになるだけでなく,助産師の仕事に対する意欲の向上にも大いに貢献してきた.
本稿では,院内バースセンターの運用の現況と展望につき,担当する助産師に執筆していただいた.産科医不足は全国共通の課題であり,われわれの取り組みが他施設での産科医療の参考になれば幸いである.(岩下 光利)
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