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読者談話室 「タバコをやめない夫への対応」について
川口 映子
pp.1067
発行日 2013年12月25日
Published Date 2013/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102661
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- 文献概要
私は,産婦人科に勤務する助産師ですが,本誌2013年4月号特集の事例のように,タバコ臭のする妊婦さんや喫煙者の家族に出会うことがよくあります。そもそもタバコの有害性が明白であるにもかかわらず,喫煙を続ける人がいるのはなぜでしょうか。また禁煙したくてもなかなか禁煙ができないのはなぜでしょうか? それは,タバコに含まれるニコチンが,強い依存性をもっているからであり,本人の意志の強さとは関係なく,いったん吸い始めると容易には止めれなくなるように脳の働きを変えてしまうからです。ニコチンは,ほかの違法な薬物のように酩酊や幻覚を起こさせる作用がないために害が軽視されていますが,健康を破壊することには変わりがありません。
WHOの国際疾病分類第10版(ICD-10)において,タバコの使用は「精神作用物質による精神および行動の障害」に分類されています。そして「依存症候群:一連の行動,認知及び身体的現象。反復使用後に現れ,典型的にはたばこ摂取を強く渇望し,使用の制御が困難になり,有害な影響があるにも関わらず持続して使用し,たばこ使用に関して他の活動や義務よりも一層高位の優先権を与え,耐性が亢進し,時に身体的状態を示す」と明記されていますが,本事例の「妻や子どもよりも自分を優先する」は,まさにこれに相当します。
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