特別企画 医療介入を極力おさえたお産
―お産領域のグレーゾーンを考える―妊婦さんとその家族にとって心温まるお産とは?
井上 裕美
1
1湘南鎌倉総合病院お産センター
pp.940-941
発行日 2013年11月25日
Published Date 2013/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102628
- 有料閲覧
- 文献概要
生理的営みのお産の大切さ
先日,鎌倉芸術館で第2回プライマルヘルス学会が行なわれた。オキシトシンの研究で世界的権威であられるスウェーデンのシャスティン教授の話は,実に興味深く,これから記すお産領域の医療介入のかかわりについて大変参考になるものだった。同様にミッシェル・オダン先生の話も今までに彼が言い続けてきた,周産期に人間の健康に関する大事な時期が存在すること,そしてだからこそ,生理的な営みに入り込む医療介入は細心の注意を要することをあらためて皆に喚起させるものだった。こまかい話はまたの機会に譲るとして,要は,2人共医療介入のない,生理的な営みのお産がいかに大事であるかを語ってくれたのだ。
正常(または生理的)妊娠・分娩と病的な妊娠・分娩との間には幅広いグレーゾーンが横たわっている。これは周産期にたずさわる多くの医療従事者はわかっていると考えられる。明らかに病的な妊娠・分娩を,多くの場合,医療を必要とする前置胎盤や常位胎盤早期剝離などのような分娩とすれば,グレーゾーンに横たわっている分娩とはさまざまなリスクを抱えながら,医療を最小限度かまたは医療の助けを必要とせずに行なわれるお産と考えればわかりやすいだろう。
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.