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『フィリピンの小さな産院から』
竹内 正人
1
1東峯婦人クリニック
pp.761
発行日 2013年9月25日
Published Date 2013/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102572
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本書は,本誌の連載「バルナバクリニック発ぶつぶつ通信」をまとめなおしたものである。フィリピンで貧しい人々に寄り添って生きてきた冨田の13年は,共感できても,できなくとも,圧倒的なリアリティーを伴って,読者の心をあらゆる角度から大きく揺さぶることだろう。
1997年,夫の植林事業(NPO)に付き添って,ピナツボ火山噴火の被災民に開かれた再定住地に移り住んだ冨田は,多くの貧しい人々がお産で命を落としていて,その一因が,産婆や助産師の間違った知識による処置の横行にあることを知る。そんな時,冨田は友人2人に自宅出産を頼まれたが,当時生後2か月の次女がいたため断った。2人は近所の助産師を自宅に呼び,赤ちゃんはともに亡くなった。「神様が決めたんだから仕方ない」と,現地の人のように納得できなかった冨田は,2000年,藁葺き屋根の小屋をつくり無料産院を開いた。
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