特集 母乳育児推進の「壁」とその解決方法
医療者のケア次第で解決
Q1 帝王切開の傷が痛くてつらそうなお母さんに,無理なく母乳を勧めたいのですが
手代木 清香
1
1横浜市大センター病院総合周産期母子医療センター
pp.10-12
発行日 2013年1月25日
Published Date 2013/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102363
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A1
「母乳育児成功のための10カ条」のステップ4では,母親が出産後30分以内に赤ちゃんに母乳を飲ませられるように援助することを勧めています。分娩直後から早期接触や早期授乳をすることは,母子の相互作用や児の吸啜行動によい影響を及ぼしますし,その後の母乳率を上昇させることがわかっています1)。さらにステップ7では,母児同室にし,母親と赤ちゃんが終日,一緒にいられるようにすることを勧めています。母児同室は,母親の母乳育児に対する自信につながり,母乳育児期間を伸ばします。母児同室にすることは,母乳産生に有効で,新生児の黄疸の頻度を減らし,児の体重増加を多くしますし,新生児の啼泣が少ないこともわかっています2)。
帝王切開後の母乳育児の妨げとなるのは創痛ですが,無理なく授乳を勧めるためにはどのようなケアがあるでしょうか。特に術後3日目ぐらいまでは創痛を強く感じる方が多いのですが,この期間の母子愛着形成や授乳はその後の母子関係や乳汁産生に大きく影響しますので,母乳育児を開始する大切な期間ともいえます。ここでは当院で行なわれているケアを含め,無理なく母乳育児ができる方法を考えてみたいと思います。
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