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はじめに
近年,食物アレルギーをもつ子どもは増加傾向にある。食物アレルギーは,2011年の厚生労働科学研究班による「食物アレルギー診療の手引き」では,「原因食物を摂取した後に免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」と定義されている。食物アレルギーは乳幼児の約5~10%が罹患している1)と考えられており,他のアレルギー疾患と比較して小児期,特に1歳前後までの乳幼児に圧倒的に多く発症することがわかっている。厚生労働省の全国調査では食物アレルギー患者1546名を分析しているが,その年齢別内訳として0歳児35.8%,1歳児17.7%で全体の53.5%を占めている2)と報告されている。
一方,胎児の神経管閉鎖障害発症リスクを減少させるため,2010年の厚生労働省日本人の食事摂取基準の中で,妊娠前期において葉酸摂取を推奨する傾向にある。胎児の神経管閉鎖障害とは,受胎後およそ28日で閉鎖する神経管の形成異常であり,臨床的には無脳症,二分脊椎,髄膜瘤などを呈する。このように妊娠早期に起きる異常であるため,厚生労働省は2000年「健やか親子21―妊産婦のための食生活指針」の中で,妊娠を計画する女性に対して,妊娠前から妊娠3か月までの食事での葉酸摂取と,それでも不足している場合は葉酸サプリメントを使用しての葉酸摂取を推奨している。この推奨により,妊婦の葉酸摂取に対する認知度や葉酸サプリメントを摂取する者の割合は増加してきている3)。
しかし,妊娠期間を問わず,妊娠後期まで葉酸サプリメントを利用している妊婦も多い4)ことが報告されている。乳幼児のアトピー性皮膚炎での食物アレルギーの関与を認める5)といった報告もあり,2008年には,食物アレルギーが発端となりアトピー性皮膚炎,気管支喘息へ進展することが,「食物アレルギー診療の手引き」にて示されている。また,2歳までに食物アレルギーに罹った児はその後の喘息,アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎の可能性が高い6)ことも示されている。
今回,妊娠中の葉酸サプリメントの摂取状況の実態と,乳幼児に最も多いアレルギー疾患である食物アレルギーの関連を調査した。
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