連載 Motherへのまなざし・6
―日本赤十字社医療センター―中根直子さん
宮崎 雅子
pp.524-529
発行日 2012年6月25日
Published Date 2012/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102209
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お向かいの助産婦さん
「私は生まれる前年の胎児の時に伊勢湾台風を体験しているんです」。中根直子さんへのインタビューはこんな会話からスタートしました。
1959(昭和34)年9月26日,潮岬に上陸したこの伊勢湾台風は,5000人を超える犠牲者と3万人以上の負傷者を出し,甚大な被害を与えました。台風が去った後,中根さんのお母さんは胎動がなくなっていることに気づき,向かいに住んでいた病院勤務の助産婦さんの家に駆け込んだそうです。核家族だったお母さんにとって,唯一頼れる相談相手だった助産婦の鈴木さんは「台風のあとだからね,そりゃお腹も張るわよ」と,動揺したお母さんに言い,「お茶でも飲んでいきなさい」と家に招き入れ安心させました。
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