研究・調査
緊急帝王切開時における妊産婦の不安を分析する
川本 深雪
1
,
能野 芳江
1
,
徳原 多賀子
1
,
戸川 優子
1
,
佐世 正勝
1
,
戸部 郁代
2
1山口県立総合医療センター総合周産期母子医療センター
2山口大学大学院医学系研究科母子看護学分野
pp.1110-1115
発行日 2010年12月25日
Published Date 2010/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101780
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はじめに
周産期医療レベルの向上に伴い,帝王切開率は年々上昇している1)。帝王切開は母体の救命や児のintact survivalのために必要な分娩方法であるが,緊急帝王切開の中には,妊産婦やその家族が帝王切開の必要性を十分に納得できないままに手術を受けなければならない場合もある。また,予期しない手術を受けるため,妊産婦の不安が高まることが指摘されている2)。しかし,不安の内容や妊産婦に及ぼしている影響についての具体的な報告は乏しい。
山口県立総合医療センター(以下,当センター)は,2006年1月に総合周産期母子医療センターに指定されたことから,ハイリスク妊産婦や低出生体重児,先天異常児に対する迅速な対応を可能にするために,同年4月に産科病棟に分娩手術室を開設した。これにより,手術決定から児の娩出までの時間が短縮され,母児への医学的な負担が軽減される一方,妊産婦や家族は手術の必要性を納得する間もなく手術を受け入れなければならないため,その不安が増大していることが懸念された。
今回,緊急帝王切開を受けた妊産婦における不安,および帝王切開分娩や医療スタッフに対する意識を明らかにするため,予定帝王切開を受けた妊産婦と比較検討を行ない,今後の適切な対応のあり方を検討したので報告する。
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