連載 助産師のための新生児ケア集中講座・6
新生児の皮膚ケア【前編】
米山 万里枝
1
,
永田 裕子
1
,
西山 実里
1
,
一島 栄美子
1
,
瀬戸 智美
2
1東京医療保健大学医療保健学部看護学科・助産学専攻科
2東京女子医科大学附属八千代医療センター新生児ユニット
pp.840-847
発行日 2010年9月25日
Published Date 2010/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101728
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
新生児期の皮膚症状は,皮膚の構造や機能が未成熟であるために起こる一過性のものや,疾患に伴うものがある。前者は治療の必要はなく経過観察のみを要することが多いが,後者は検査を要するなど,すみやかな対処が求められる場合も少なくない。しかしながら皮膚症状出現時など,特に初期においては,症状を一見しただけではすぐに判別をつけられない場合がある。
また,退院後の受診や電話相談では,新生児期の皮膚症状を主訴としたものが多くを占める。感染症など疾患を伴う発疹が疑われるものから,皮膚トラブルへの対処策に関してなどその内容も幅広く,母親への的確なアドバイスを提供するためには助産師・看護師自身も異常と正常を見極める判断力を培うことが必要である。
現代ではインターネットなどを利用し,新生児期における皮膚症状やケアに関する情報を簡単に得ることができるが,子どもを持つ親にとっては,豊富な情報によるプラス面と,逆に混乱しうるマイナス面が考えられる。母親の産科入院中に,家族も母親同様,児の皮膚の状態をみながら,必要なケアについて助産師や看護師と話し合い,有益なアドバイスを得ることができれば,退院後の生活にも役立つと考える。
そこで,今号から2回にわたり,新生児の皮膚ケアについて取り上げる。今号では,新生児の皮膚についての基礎知識,出生直後から産科退院までの期間にみられやすい一過性皮膚症状と疾患を伴う皮膚症状の違いについて考える。
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.