特集 現代の貧困と健康
母子・父子家庭の健康問題と支援活動
有本 晃子
1
1京都市伏見保健所醍醐支所健康づくり推進室
pp.717-723
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101399
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近年,離婚件数,未婚の母の増加にともない,ひとり親家庭が増加している(図1).平成15年11月現在,母子世帯(父のいない満20歳未満の未婚の子どもがその母によって養育されている世帯)は1,225,400世帯(全世帯数の2.7%),父子世帯(母のいない満20歳未満の未婚の子どもがその父によって養育されている世帯)は173,800世帯(同0.4%)になっている1).さらに母子のみの世帯は788,000世帯(全世帯数の1.7%),父子のみの世帯は89,000世帯(同0.2%)であり,18歳未満の児童のいる世帯で見ると,6.8%がひとり親と未婚の子のみの世帯であると報告されている2).
ひとり親家庭を対象とした調査3,4)(表1)では,母子世帯の3/4以上,父子世帯の約2/3が「現在の生活が大変苦しい,または苦しい」と答えている.また平成17年の年間平均収入は,母子世帯で213万円(一般世帯の37.8%),父子世帯で421万円(同74.7%)と低く,生活保護受給率は9.6%であった1).さらに表2に示すように「現在困っていること」として,「経済面」と答えた者が最も多く,ひとり親家庭の苦しい経済状態が明らかとなっている3,4,5).また健康面について見ると,大阪市調査(表2)で母子家庭の4割以上,父子家庭の3割以上が「現在困っていること」として「健康面」を挙げている3).
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