特集 分娩監視装置をどう使っていますか?
監視装置ではなく人間に見守られたお産へ―信頼性の低い監視装置より診断能力の高い助産師になろう!
大石 時子
1
1宮崎大学医学部看護学科
pp.906-913
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100982
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継続モニタリングは心音間欠聴取より優れていない
分娩監視装置は,胎児心音,ひいては胎児の健康度を最も科学的に監視できる最新のME機器として信頼されてきた。分娩監視装置で児心音を継続的にモニターすることが最も安全な分娩管理であると多くの人が信じてきた。
しかし1995年,ハイテク産科医療の国アメリカでその権威である米国産婦人科学会(ACOG)は画期的な声明を発表した1)。それはハイリスクの産婦でもローリスクの産婦でも,胎児心音の観察は,ドップラーなどによる間欠的聴診でも,監視装置による継続モニタリングと同じ効果を上げることができるので,どちらを使ってもよいとその方法を示したのである。その具体的方法は他稿(本誌p.16)を参照していただくとして,ACOGがこのような発表をした背景には,胎児仮死や神経障害などを防ぐという継続モニタリングに期待された効果がはっきりとしないにもかかわらず,帝王切開術,鉗子,吸引分娩などが増える傾向にあることを危惧したものと思われる。コックランのメタアナリシスによれば帝王切開は40%,吸引・鉗子分娩は20%も増加すると分析されている2)。
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