実践報告
産科勤務看護職者のための医療英会話セミナー開催とその評価
玉石 桂子
1
,
井上 桂子
2
,
安川 純代
3
,
松尾 博哉
4
1NTT東日本関東病院看護部
2神戸大学医学部保健学科博士前期課程
3岡山大学医学部附属病院
4神戸大学医学部保健学科
pp.1099-1104
発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100882
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
1990年の入国管理法改正後,わが国における在住外国人の割合は急増し,2001年末には外国人登録者数は177万人を超え,日本の総人口に占める割合は1.4%となった1)。神戸市では,2001年末現在,外国人登録者数は4万4千人と人口の2.9%を占め2),全国平均に比して多く,神戸市において多様な文化的背景をもった在住外国人が妊娠・出産を行なうことは珍しいことではなくなった。在住外国人の妊娠・出産に際しては,言葉や文化の違い,経済上の問題などから日本人母子とは異なる対応が必要となることも少なくない3)。
すでに,われわれは神戸市内の10施設の産婦人科に勤務する看護職者86名を対象に,在住外国人妊産婦への看護に際して苦労する点やコミュニケーションの実状を調査し4),その87.2%が苦労する点として「言葉の問題」をあげ,看護職者は刻々と状況が変化する周産期医療現場で言葉の問題の重要性を強く感じていることを報告している。また,神戸市では日本語が通じない在住外国人妊産婦のうち約半数が英語でのコミュニケーションが可能であるが,産科勤務看護職者は自分たちの英会話能力を不十分と考えており,同時に医療英会話の学習の機会を積極的に希望していることも合わせて報告している。
そこで,われわれは産科で働く看護職者の在住外国人妊産婦ケアの向上を目的に神戸大学医学部産科婦人科留学生(フィリピン人産婦人科医)を講師として,医療現場で役に立つ産科医療英会話セミナーを開催した。その概要とともにセミナー参加者へのアンケート調査結果から本セミナー開催の意義,問題点,今後の課題を考察した。
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.