特集 第1回看護研究セミナー
第1回看護研究セミナー開催の趣旨
小林 富美栄
1
1東京女子医大看護短大
pp.291-293
発行日 1971年10月15日
Published Date 1971/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200310
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このたびは看護研究セミナーの開催に際し,その趣旨にご賛同くださり,お集まりいただき,ありがとうございます。無事この会を開くことができました本日,1年間の準備の月日を振り返ってみますと,まことに感慨深いものがあります。お集まりの皆さま方は,すでに研究実績を積み重ねていらっしゃいます方々と,研究に関心をお持ちでこれから勉強を始めようとなさっていらっしゃる方々ばかりですから,いまさら日本の看護研究について申し述べるまでもないこととは存じますが,このセミナーの企画を思い立ち,仲間に呼びかけてきょうまで準備をしてまいりました立場から,その趣旨を日本の看護研究という背景を踏まえて,かんたんに申し述べたいと存じます。
わが国で看護が公的に制度化されましたのは1915年でありますが,当時から1948年までの長い年月にわたって,看護に要求されました能力を,その検定試験課目および養成所教科内容から推測しますと,診療の介助者としての程度を要求されていたように考えられます。実際,看護ではかんたんな医学的知識や技術が用いられて,すべて医師の指示どおりに行動しておりました。したがって,診療所や病院においては医者の行なうべき行為の代行を主とし,身体的側面からの問題に集中して手当てをしてきていました。
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