連載 宝物,教えてください・16
矢島助産院
松崎 政代
1
1大阪大学大学院
pp.339
発行日 2017年5月25日
Published Date 2017/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200750
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三楽病院での助産師時代,お産直後に「臍高!良好です!」と子宮復古を医師に伝えると,分娩台のお母さんが「本当に最高〜!!」と言った。これが研究のモチベーションとなり,2000年に編入学した東京女子医科大学の卒業研究で「分娩では快感を得られるか?」を明らかにしたく,2軒の助産院を訪問した。その1つが私の生涯の宝となる矢島助産院との出会い。お産の感想ノートには,お礼よりも自分の体験したお産の快・快感がたくさん書かれていた。矢島さんの腰をさする手,赤ちゃんが産道を通る感覚,パシャっと破水した時の気持ちよさ,ぬるっと出た胎盤の心地よさなど,お母さん方は自分の感覚を感情豊かに綴っていた。「これこれ!最高なお産への要素!」と,15人にインタビューをした。居心地がよくていつの間にか矢島助産院で働き,修士・博士課程に進学後も居付き100人のお産を取り上げた。矢島助産院はお母さん方の育児の原点,生まれ変わる原点。そして,私にとっても助産師としての原点。日本の宝として100年後にも,1000年後にも残したい。
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