特集 命をめぐる「話し合い」のガイドライン
子どもの「最善の利益」とは何か
妊娠23週で臍帯脱出後,出産に至った事例での「話し合い」の現状から
宮川 祐三子
1
,
宮守 美佐緒
1
,
稲佐 郁恵
1
1大阪府立母子健康総合医療センター
pp.517-520
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100754
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はじめに
胎児形態異常は,超音波診断装置の発達で妊娠の早い時期に診断がつくようになった。そのため,出生後の治療に対する情報提供を十分な時間や回数を重ねて行なえるケースがほとんどである。しかし,切迫早産や早期破水,胎児心拍異常により早産に至ると,突然,超低出生体重児の親となる。そして,わが子の治療に関するあらゆる決断を短時間のうちに迫られる。出産前に新生児科医が,予測される出生後の児の状態・治療について説明を行なうために,Perinatal Visitを行なう場合もあるが,結局は十分な時間が確保できずに,わが子に関する決断を迫られてしまう現実がある。
そこで,本稿では切迫早産で母体搬送となり,蘇生治療を拒否された事例を提示し,十分な時間がない状況での親と医療者の「話し合い」の現状を提議する。
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