特集 知っておきたい「アレルギー」の話
アレルギー性疾患
岩田 力
1
1東京大学医学部附属病院小児科
pp.97-101
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100659
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アレルギーとは
アレルギーという言葉は日常の会話でもしばしば用いられるほど親しまれている。しかし,日常会話で用いられる意味合いと,医学的な意味合いとは少々ずれていることもあり,医療従事者としてはやはり医学用語としてのアレルギーを用いていくことが好ましい。
さて,そのアレルギーという言葉は,歴史的には20世紀初頭にvon Pirquetによって用いられた造語である。語源はギリシア語のallosとergonよりなる。ギリシア文字ではαλλοσ,εργονと表記される。その意味は,「変化した(allos)」「反応(力)(ergon)」とされ,身体のさまざまな機能の1つである免疫系がいろいろな刺激に対して働き,その結果として同じ刺激に対しても以前とは異なる反応を呈するという現象を説明するために用いられたという。つまり,この造語が用いられた始めのころは,人体にとって好ましい反応,たとえば,ある感染症の病原体に対して感染の後に抗体を作るために,同一の感染症にはかかりにくくなるという,いわゆる免疫が付く現象も,この言葉に含まれていた。しかし,次第に今日の概念としての「免疫系が働く結果として,人体に有害な症状をもたらせること」をアレルギーと呼ぶようになった。
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