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はじめに
IBFAN(International Baby Food Action Network)は母乳育児を保護,推進,支援する草の根の活動グループを世界規模でつなぐネットワークです。IBFANは母親,父親,保護者が,乳幼児の栄養に関して,商業的な影響から自由で,客観的で,一貫した,そして完全な情報が得られることを目的に活動しています。
このネットワークはWHO(世界保健機関)とUNICEF(国連児童基金)の「赤ちゃんと子どもの栄養」に関する共同会議が終了した1979年の10月12日に設立されました。当初は6つのNGOのネットワークに過ぎなかったのですが,今日に至るまでの23年間に100か国以上で活動する200のグループのネットワークに成長し,いまやその活動は世界全体に広がっているといえるまでになりました。
1998年にはIBFANの活動が認められ,その年の4つの受賞団体の1つとして,ライト・ライブリフッド賞を受賞しました。この賞は“民衆のノーベル賞”と言われているもので,優れた市民活動に贈られるものです。IBFANの受賞は「母乳代用品を宣伝・販売しようとする企業による商業的圧力や誤った情報に干渉を受けずに母親が子どもに母乳を与える権利を守るために,20年以上にわたって続けた献身的かつ効果的なキャンペーン」に対してのものでした。
IBFANの運営メンバーの中で個人的に称号を与えられた人もいます。IBFAN設者の1人で,イギリスのベビー・ミルク・アクション(Baby Milk Action)のパティ・ランドルは,自然な母乳育児に対して商業的な宣伝販売が害を与えていることを社会に対して常にアピールしてきたことに対して,英国のエリザベス女王よりイギリス国家勲章(OBE;Order of the British Empire)を受けています。また,筆者の1人,アネリス・アレインも商業的な力に対抗するネットワークを作り上げたという仕事に対し,オランダの女王からオレンジ・ナッソウ勲章(Order of Oranje Nassau)を贈られています。
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