特集 「成育医療」がめざす周産期のケア
「成育医療」とは何か―成育医療センターのめざす周産期医療
久保 隆彦
1
1国立成育医療センター周産期診療部
pp.625-631
発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100564
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はじめに
特殊合計出生率:1.31と少子化が急激に進んできた我が国では,次代を担う子どもとその父母の健康,良好な親子関係の醸成が大きな国民的課題となっている。また,大学病院などの大病院での医療環境は専門細分化されてきたために,その反動として患者やその家族を中心とした総合的,継続的医療が強く求められてもいる。成育医療センターは,これらのニーズに応えるため,不妊・不育治療,産科管理,胎児から新生児,小児,思春期を経て再び出産に至るまでのリプロダクションサイクルを対象とした周産期の総合的かつ継続的医療を目指し,これまでの診療科の枠を越え,ライフサイクルという新しい概念に基づき平成14年3月にオープンした。
当センターは,この基本概念に加え,完全電子カルテ化,周産期データベースなど既存の施設とは大きく異なったハードとツールで稼動している。この特色と成育医療に至った国立病院の経緯について略述し,さらに成育医療センターで実施されている周産期医療についても触れたい。
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