連載 とらうべ
思春期ダイエットはなぜ危険なのか?
福岡 秀興
1
1東京大学大学院医学系研究科発達医科学
pp.539
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100548
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- 文献概要
卵巣ホルモンは女性の健康維持に不可欠で,HRTは,痴呆症・骨粗鬆症・動脈硬化性疾患・大腸癌などを予防し,QOLを高く維持します。思春期はその後の性成熟期・更年期・老齢期を健康に過ごすための大事な時期であり,思春期の卵巣機能低下は重篤な結果を引き起こします。マスコミはダイエットを薦め,せることを良しとする風潮があり,20代はBMIが18.5以下という低栄養状態にある女性が20~25%にまで達しています。10代女性のやせ願望は70~80%と高く,多くが必要のないダイエットに励み,著しい体重減少を引き起こしていることを示すものです。そこには危険の認識が欠落しています。女性の一生に責任を持つべき我々には,その危険性を説明すべき責務があります。
脂肪組織は内分泌臓器で,健康維持のための物質が多く分泌されます。内分泌器官と密接な関係にあり,それらが統合し初めて体が正常に維持されます。体重減少は脂肪減少と卵巣機能の低下を起こし,月経不順,無月経となります。無月経は第1度と第2度に分けられ,第2度無月経では卵巣機能は廃絶に等しく,著しい低エストロゲン状態となります。それは思春期の体に深刻な結果を引き起こすのです。
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