今月の臨床 思春期のヘルスケアとメンタルケア
思春期診療の実際とカウンセリング
9.思春期のダイエットと摂食障害
甲村 弘子
1
1大阪樟蔭女子大学
pp.1192-1195
発行日 2003年9月10日
Published Date 2003/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100838
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はじめに
摂食障害(eating disorder : ED)は,体重や体型への顕著なこだわりと肥満への強い恐怖のために食行動に異常をきたす疾患で,思春期に好発する.おもに神経性食思不振症(anorexia nervosa : AN)と神経性過食症(bulimia nervosa : BN)に大別されている.本症は先進国において著しく増加しているが,日本でも同様である.1998年の全国調査によると,摂食障害の患者数は1993年からの5年間で約4倍に急増していることが明らかになった1).このうちANは2~3倍,BNは6~7倍の増加である.
摂食障害の患者は身体症状が出現すると一般医に行くことが多い.無月経を主訴として産婦人科医を訪れることが多いのである.そこで摂食障害が疑われる場合には,表1に示した7項目の確認を行う2).本症には,誤ったダイエットが原因で比較的治りやすいものから,深い心的外傷や精神的問題をかかえるものまでさまざまなケースが含まれるので,それぞれの状況に応じた理解と対応が大切となる.
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