特集 家族計画
人工妊娠中絶の産婦人科学的考察
森山 豊
1
1横浜市立大学
pp.17-22
発行日 1957年4月15日
Published Date 1957/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201807
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1.はしがき
人工妊娠中絶(以下中絶と略称する)は,技術的には特別問題とするようなことはない,ただ最近これが注目されているのは,戦後優生保護法が改正されて,その適応の範囲が拡大され中絶数が激増したためである。中絶は他の医療処置と異なり,これが社会道徳,宗教或は秩序と密接な関係があるため,何れの国,いつの時代でも,中絶施行には厳重な法的制限がある,わが国においても,戦前は,妊娠を継続することが母体の生命を危くする場合にのみ中絶が認められていた。即ち疾病治療の場合にのみに限定されていたが,戦後は疾病治療のみでなく,出生制限の有力手段として行われている。これはわが国特有の現象である。
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