研究・調査・報告
経営効率から見た有床助産院の適正助産師数の決定戦略
宮崎 文子
1
1大分県立看護科学大学
pp.74-80
発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100454
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緒論
有床助産院(以下助産院)が一般企業と異なる最も重要な特質は,出産という直接生命と向き合う職業的特性にある。この助産業務の特性から助産院長(経営者)は365日24時間拘束を受ける厳しい勤務体制が主流をなしている1)。これに加えて,筆者の先行研究で分娩件数が年間130件以上の助産院12か所の調査では,年平均分娩件数180件に対し平均常勤助産師数は2.2人という助産師労働の厳しさがみられる2)。一方,病院勤務助産師の助産院のイメージの1つに長時間労働の問題もあげられている3)。産婦・新生児の入院人数に対する助産師数の割合については「医療法」には規定がない。これらの実態から派生する問題点の1つとして,助産院長の労働過重と若者の後継者難が明らかになっている4)。そのため,院長の労働を軽減する1つの方策として,助産院の適正助産師数(人)を分娩件数(金)との関係において標準化する必要性があると考える。
助産院の生産活動(助産ケア)も,いわゆる,人・物・金・情報の4種類の経営資源からなっているが,助産院の主な経営資源は人(助産師)を中心とするものである。分娩件数に対して,助産院長が過重負担にならず,なおかつ,人件費負担が過大にならないような適正助産師数はいかにあるべきかが従前からの課題となっているが,この分野の研究は皆無である。
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