特集 診療所に助産師を
診療所助産師の必要性を考える―その活動実態調査から
加藤 尚美
1
1神奈川県立保健福祉大学
pp.664-669
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100373
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はじめに
「健やか親子21」の運動の主要課題の1つに「妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保」が提示されているが,昨今の産科医師不足から,分娩の取り扱いを中止する病院も出はじめ,事態は深刻度を増している。安全性と快適さの確保は,いよいよ困難になり,むしろ不安は増強しているといえよう。そこで,周産期医療における助産師にはどのような役割が期待されているのかを,いま一度見直してみたいと思う。
平成17年に開かれた厚生労働省の「医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会」で,診療所における看護師の助産行為がクローズアップされ議論されたことは記憶に新しい。現在,診療所に助産師が就業していないことで起こる問題は多く,筆者は早急に取り組まなくてはならない課題と考えた。助産師がいきいき働いている診療所の医師および助産師から,診療所で働くことの魅力を語ってもらい,広く紹介することにより,結果として診療所への助産師の就職促進につながればと願っている。
助産師が診療所に就業することによって,どのようなメリットがあるだろうか。第一に,助産師が母子の安全や快適性を守ることで,医師は医療に専念できる。今後も産科医の減少が見込まれるなかで,医師は積極的に周産期センター等に出向く必要性が生じることが予測される。その時に,診療所での正常な分娩を助産師に委譲できるか,また委譲を受けた助産師がよりよい出産の支援者になれるかどうか,即ち,医師と助産師が信頼関係を保ち,協働者としてよい関係を結ぶことができるかどうかが,重要な鍵となる。
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