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はじめに
諏訪マタニティークリニックは,産科・婦人科・不妊外来をもつ単科の病院である。ベッド数:33床,年間分娩数:550~600件,手術件数:250件,不妊外来部門での体外受精:1,000~1,200件である。また,当院は助産師卒後研修センターも併設しており,研修生も当院スタッフの身分として,主体的に妊娠・出産・育児に継続してかかわれる体制となっている。言わば,助産師の施設内開業といっても過言ではない。現在の助産師は6名で,助産師外来と乳房外来,分娩部門をローテーションしている。
助産師外来では,妊娠確定後,初回の乳房チェックと保健指導を行ない,それ以降の乳房チェックに関しては,乳房外来で担当している。
乳房外来では,妊娠中の乳房の手入れに関することからはじまり,産後母乳確立に向けての指導,そして断乳に至るまでを担当している。乳房外来の年間利用者数は,延べ4,500人前後で,その内トラブルは30%となっており,ほとんどは母乳確立するまでのチェックとなっている。
当院だけでなく一般的にみても,母乳哺育指導,特に乳房ケアに関してはほとんどが助産師に委ねられ,それも異常の発見から治療の分野まで踏み込まざるを得ない状況にある。そこで,単なる視診・触診だけでなく,より診断を確実にすべく,超音波検査(以下,エコー検査)を取り入れた形で,助産師がかかわる必要性が出てきた。
当院の助産師外来では,エコー検査に抵抗感なくかかわってきた経緯を踏まえ,7.5MHプローブを使用した乳房のエコー検査を,平成7年6月より助産師が妊娠中から産後の母親にスクリーニング検査としスムーズに開始してきている。そのなかで異常の見られた場合は,当然のこと医師と共にチェックしフォローしている。特に乳癌のチェックに関しては,乳腺組織の発達している妊娠中・産後における診断は難しく,少しでも異常陰影が見られた場合は,医師と共に,また,必要に応じ乳腺外科の医師とフォローするようにしている。
今回は,妊娠中からのエコー検査の必要性についてまとめたので報告する。
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