昨日の患者
花火を見て物思いに耽る
中川 国利
1
1日本赤十字社東北ブロック血液センター
pp.951
発行日 2019年8月20日
Published Date 2019/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212563
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夏になると全国各地で花火が打ち上げられ,風物詩となっている.そして花火は灯籠流しと同様に,盆における鎮魂のために打ち上げられてきた.病室から花火を一緒に見ながら,幼き頃の思い出を語った患者さんを紹介する.
Tさんは60歳代後半の乳癌患者さんであった.3年ほど前に乳房切除術を施行したが多発性骨転移をきたし,癌化学療法のため再入院した.術後経過が良好であっただけに,再発したことに落胆し,さらに化学療法の副作用による嘔気や脱毛なども加わり,ふさぎ込みがちであった.
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