調査報告
A県市町村の分散配置保健師の実態と教育・研修ニーズに関する調査
田上 豊
1
,
黒田 真由美
2
,
澤登 智子
3
,
田邉 奈緒子
3,4
1元埼玉県立大学大学院保健医療福祉学研究科
2元埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科
3埼玉県看護協会
4埼玉県国民健康保険団体連合会
pp.412-418
発行日 2024年10月10日
Published Date 2024/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664202103
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はじめに
■調査研究の背景
地域住民の健康ニーズの多様化や複雑化、保健医療福祉制度の改革等に伴い、市町村の保健医療福祉サービスの実施における保健師の役割への期待が高まり、保健師の担当業務は拡大し、多様な部署に分散配置されてきている。
著者らは、大学教員として臨地実習地の市町村保健師から分散配置における保健師人材育成に関する相談を受けたこと、自治体保健師の管理的立場で分散配置の考え方や人材育成のあり方を悩んだ経験から、保健師の分散配置における人材育成のあり方について研究する必要性を認識した。
保健師の分散配置の状況の全国的な調査には、厚生労働省の「保健師活動領域調査(領域調査)」1)と日本看護協会の「保健師の活動基盤に関する基礎調査」2)が挙げられる。これらの調査では保健師の所属部門や活動領域での配置状況が分かるものの、具体的な配置部署までは把握されていない。
また、各部署における保健師の配置状況や業務内容等の実態を明らかにした調査研究は見られない。
さらに、保健師の人材育成の指針として、自治体ごとに人材育成プログラムの作成が求められているが、A県が作成している「保健師人材育成プログラム(令和4年3月改訂)」3)において、分散配置の保健師に向けたプログラムの記載は見られない。
■調査研究の目的
本調査研究は、A県市町村における保健師の分散配置先の部署の実態、保健師の業務内容および分散配置先で求められる知識やスキル等を把握することにより、保健師の分散配置に対応した教育・研修プログラムのあり方を検討するための基礎資料を得ることを目的とした。
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