調査報告
山梨県の市町村保健センターにおける小児肥満予防対策の実態調査
芳我 ちより
1
,
相原 正男
1
,
山﨑 洋子
1
,
山縣 然太朗
2
1山梨大学大学院健康・生活支援看護学講座
2山梨大学大学院社会医学講座
pp.990-996
発行日 2012年11月10日
Published Date 2012/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664102008
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
■要旨
本研究は,乳幼児期の母子保健施策の中心を担っている市町村保健センターにおける,山梨県内の子どもの肥満予防対策の実態を明らかにすることを目的とした。
2011(平成23)年3月に山梨県内全27市町村の市町村保健センターの母子保健を担当する保健師を対象とした。調査内容は,乳幼児期にある子どもの肥満予防のための対策について実態を問う31項目とした。
調査の結果,有効回答者数は27名中21名(有効回答率77.8%)であった。何らかの肥満予防対策を現在実施している市町村は10件(47.6%),過去に実施していた市町村は1件(4.8%),合計11件(52.4%)であり,最も実施率の高い自治体は町であった。
肥満予防対策実施の有無と関連する市町村の因子は3歳児健診の受診率であり,対策を実施している市町村の受診率が高かった(p=0.03)。小児肥満予防として事業化している市町村は11件中1件のみであり,残りの10市町村は,他の母子保健事業において対策をとっていると回答していた。支援対象とする期間は,就学前までの場合が6件,就学後も継続している場合が5件であった。
支援対象児数について,乳児数を回答したのは1件のみで68名であり,2~6歳の幼児を支援している市町村が最も多く8件であった。一方,小児肥満予防対策をしていない市町村が挙げた理由は,「対象者がいない」が最も多く,次いで「肥満予防に特化していない」であった。
肥満の予防は健康的な生活習慣の確立につながる。その必要性について認識されるような研究成果の蓄積が今後の研究課題である。
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.