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【事例シナリオ】喫煙・受動喫煙妊婦への効果的な個別支援は?
桜保健師は,B市C区保健センターの1年目の保健師です。母子保健業務を担当しており,両親学級を先輩の指導を受けながら開催しています。両親学級の対象者は,市内に住む妊娠6〜7カ月の妊婦およびパートナーです。
B市は都市に隣接したベッドタウンであり,結婚・出産・育児を迎える若い世代が多く転入してきています。その中でもとりわけC区は交通の便もよくマンションなどの開発も進み,都市部に働く夫婦が多いことが特徴です。一方で,マンションや戸建住宅が密集する住宅地以外に,町工場や商店の並ぶ商工地帯や,古くからの小さな田畑等が混在し,多様な住民層が居住しています。母子保健事業の参加者の様子などからは,教育レベルが高い印象を受ける参加者がいる一方,若年妊娠の参加者もいて,多様な母親の存在を感じていました。
桜保健師は,今回の両親学級参加者の問診票で,「妊婦が以前たばこを吸っていた」「妊婦が時々たばこを吸う」「パートナーがたばこを吸う」と答えた参加者が15組中8組いることに気付きました(表1)。
両親学級は4回シリーズで,そのうち1回目に「妊娠中の生活」というテーマで助産師から講話があります。講話では運動,食事,歯科保健と併せて,たばこの害(妊婦への影響,胎児への影響,受動喫煙)について話されます。そのあと,5組ずつのグループワークをしますが,自由に普段の生活について語ってもらう中では,たばこの話題は出てきません。
桜保健師は,「たばこの害についての講話を聴いてもらうだけで,妊娠中の禁煙や受動喫煙防止につながっているのだろうか?」と疑問を持ちました。そして,個別支援が必要なのではないかと思い,どのような方法が効果的なのか調べてみることにしました。
そして桜保健師が,この疑問を先輩保健師に相談したところ,「私も気になって以前調べたことがあるの。一緒に改善方法を考えてみましょう」と,1本の研究論文を手渡されました。
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