連載 ニュースウォーク・196
「消滅可能性都市」というショック療法
白井 正夫
pp.632-633
発行日 2014年7月10日
Published Date 2014/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664102474
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新聞記者になりたてのころだからもう半世紀前の話である。「挙家離村」というテーマの取材で信州の山地を歩いた。山あいに点在する,人が住まなくなった家々。それは荒れるにまかされた廃屋で,4年間の東京暮らしを経験した身には強い衝撃だった。いまでも朽ち果てた家財道具が散乱する屋内のシーンが浮かぶのだ。
挙家離村とは,ダム建設がはなやかだった時代に湖底に沈む集落を捨ててその地を離れる意味が一般的のようだ。しかし,私が取材した信州では,山地で孤立する家々がもう生活が成り立たないとして,家族が家を放置して山を下る話だった。まちはちょうど東京オリンピック景気にわいていた。
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