連載 健康課題としての放射線防護 保健師による実際的な活動モデルに向けて・3
―保健師の実践へのヒント①―ベラルーシ視察報告から学ぶ
大森 純子
1
,
小西 恵美子
2
,
麻原 きよみ
3
1東北大学大学院医学系研究科保健学専攻
2鹿児島大学医歯学総合研究科
3聖路加国際大学看護学部
pp.626-630
発行日 2014年7月10日
Published Date 2014/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664102473
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原発周辺自治体の保健師が直面している生活文化の問題
福島原子力発電所周辺の沿岸部には,その土地ごとに代々伝承されてきた彩り豊かな暮らしがあった。東日本大震災による事故から3年が経過した現在も,いまだ放射線というリスク一色に塗り替えられてしまったままである。
事故当初から現在まで,原発周辺の地域の健康問題は大きく3つに大別できる。1つは放射線の身体への影響,2番目は放射線への恐怖と混乱,3番目は漠然とした不安に起因する暮らし方の変化である。周辺自治体の保健師が直面している問題は,暮らし方の変化による生活文化的な問題である。この問題は,生活習慣の変化,経済基盤や住居環境・形態の変化,家族同士の価値観の齟齬や関係性の変化,近隣住民間の交流や関係性の変化など,日常のすべてに及んでいる。
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