調査報告
出産後も支え合う母親学級の友だち―友だちづくりの鍵とは
堀川 真理子
1
,
橋 貴子
2
,
菅谷 弘子
3
,
吉永 亜子
3
1さいたま市浦和区役所保健センター
2さいたま市南区役所保健センター
3埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科
pp.532-537
発行日 2011年6月10日
Published Date 2011/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101625
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■要旨
さいたま市南区は転入して間もなく出産する母親が多く,母親学級への参加動機に「妊婦同士の交流」をあげている者も多い。本研究では,母親学級における「友だちづくり」の成果とその後の状況を明らかにすることを目的とした。南区開催の母親学級を2007(平成19)年度に受講した359名を対象として,2009(平成21)年2月に郵送で質問紙調査を実施し215名(回収率59.9%)から回答を得た。その結果を以下に示す。
・「母親学級に参加して友だちができた」と回答した母親は84.7%で,「母親学級終了後に連絡を取り合った」母親は82.8%であった。
・調査時点で「母親学級でできた友だちと連絡を取り合っていた」母親は74.9%であり,「友だちの人数」は平均3.0人で,54.4%が母親学級でできた友だちから「育児の相談ができる」「話し相手」「精神的に支えてくれる」といった情緒的サポートを受けている。
・友だちができるきっかけとして圧倒的に多かったのは母親学級初日の座談会であり,ほかに出産予定日が近いことや調理実習などもきっかけとなっていた。
以上により,南区開催の母親学級の受講者同士は出産後も継続した友人関係をもてており,その多くは友だちから情緒的サポートが得られていることが明らかになった。自治体開催の母親学級は,妊娠・出産に関する知識の普及のみならず,「友だちづくり」の場の提供を行うことで,子育てをしている母親の「孤立」を防ぎ,育児不安や子ども虐待のリスクを軽減することができる可能性があると,職員が意識しながら母親学級の企画・運営をしていく必要があると考える。
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