調査報告
「のびのび赤ちゃん訪問事業」における主任児童委員の役割
布花原 明子
1
,
畠中 順子
2
,
木村 祥子
3
1西南女学院大学保健福祉学部
2北九州市子ども家庭局子ども家庭部子育て支援課
3前北九州市子ども家庭局子ども家庭部子育て支援課
pp.466-473
発行日 2010年5月10日
Published Date 2010/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101389
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■要約
本稿は,北九州市が実施している「生後4か月までの乳児のいる家庭への全戸訪問事業」の担い手である主任児童委員に対する支援課題を明確化することを目的に行った調査研究の中間的報告であり,その調査結果をもとに,事業開始時点における,主任児童委員の役割意識と訪問事業活動に対する態度を主に論じるものである。
主任児童委員は,地域における児童の健全育成活動や事業への参加経験を有しながらも,個々の家庭への訪問活動に対して不安や戸惑いを感じている者は少なくない。その背景には,これまでの活動対象の多くが「生後4か月までの乳児」ではなかった点や,訪問活動の意味が個別具体的な介入と混同されている点などが考えられ,主任児童委員と訪問を受ける家庭のみならず,本事業の趣旨を地域住民に広く周知することが課題となろう。
主任児童委員の多くは,その任務に対して「やりがい」や「使命感」を感じている。地域における子育て支援者としての活動がこのような心証を与えているのであろうが,このことは必ずしも「満足感」に連動してはいない。むしろ,「負担感」を訴える傾向すらある。子育て支援役割を担っているという気負い,あるいは役割期待を過剰に認知していることなどが「負担感」をもたらしているとも推察され,役割の明確化を図る必要があると考える。
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