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―『ケースで学ぶ医療福祉の倫理』菊井和子・大林雅之・山口三重子・斎藤信也(編)―現場のリアリティあふれる事例で医療福祉現場の倫理を学ぶ
中島 紀恵子
1
1日本看護協会看護教育研究センター
pp.421
発行日 2009年5月10日
Published Date 2009/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101203
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市民ニーズの声が聴こえているようなタイトルである。ここ20年足らずの間に,「介護」が誰でも使う言葉になったのに比べれば,「医療福祉」の共通理解は“いま一歩”のところで低迷しているように思える。
医療プラス福祉という意味での「医療・福祉」ではなく,「医療的ニーズに応えると同時に生活面でのケアを提供する(序文)」のが「医療福祉」なのだという強いマインドをもって本書は書かれた。そこに込められた著者のメッセージは,医療福祉ケア/サービスを必要とする多くの高齢者,障害者,難病患者とその家族,ならびにその場面に携わる,職種を異にする大勢の関係者がそれぞれ「はたして誰の益なのか」と思い悩み,揺れ動く思いの間で,倫理的ジレンマを抱えてしまう問題に対し,読者もチームの1人になったつもりで学習に参加してほしいというものであろう。
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