調査報告
妊婦および子育て中の母親の喫煙・飲酒に関する因子の検討―東京都における現状調査から
鈴木 孝太
1
,
山縣 然太朗
1
,
澤 節子
2
,
東海林 文夫
3
1山梨大学大学院医学工学総合研究部社会医学講座
2前墨田区保健所
3中央区保健所
pp.728-733
発行日 2008年8月10日
Published Date 2008/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101043
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■要旨
21世紀の母子保健の主要な取り組みを提示し,推進する国民運動計画である「健やか親子21」では,妊娠中の喫煙率,育児期間中の両親の自宅での喫煙率について,2010年までに0%とすることとなっている。
そこで東京保健所長会母子保健部会が,東京都の妊婦や子育て中の母親の喫煙・飲酒の実態,それらに関する知識についての現状を把握することを目的とし,アンケートによる調査を行った。アンケート結果からは,「妊娠中の喫煙率・飲酒率0」および「胎児・乳幼児の受動喫煙防止」の普及啓発活動を続ける必要があると結論付けられている。
本調査ではそれら保健活動が効果的に行われるための情報提供を目的に,アンケートから明らかになった喫煙・飲酒についての問題点に関わる因子を,多変量解析を用いて検討した。
その結果,若年妊婦や,妊婦本人が喫煙している場合に受動喫煙と関連している結果となった。また,受動喫煙の知識については妊娠中に喫煙している,あるいはしていた人で言葉を知っている傾向が示された。さらに,経産婦,喫煙していること,妊娠と飲酒についての情報があることが,妊娠中や子育て中の飲酒と関連があることが示唆された。
以上から,妊婦や子育て中の母親本人だけでなく,夫を含めた家族の協力が必須であり,また喫煙や飲酒によるさまざまな影響について,社会全体が興味をもち,広く知識を普及啓発できるような取り組みが必要だと思われた。
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