- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
北海道石狩保健福祉事務所保健福祉部(北海道江別保健所)は2市1町1村(管内人口約21万人)を管轄している。管内石狩市は,旧石狩町が昭和40年代から札幌市のベッドタウンとなり,石狩湾新港の建設と工業団地の造成により飛躍的に発展をとげ,1996年9月1日に市政が施行された。2005年10月1日には,隣接する厚田村と浜益村を合併し新「石狩市」が誕生した(図1)。2006年4月末時点の人口は6万1293人,世帯数が2万5013であり,2004年の出生数は442件を数えている。
近年,石狩市では20歳未満の若年妊娠・出産が増加傾向にあり,全国平均の1.7~1.9%を上回り,出生数の2.7~3.3%を占めている1)。16~18歳の高校在学中と推測される事例もめずらしくない。若年養育者は育児力に問題を有することが多く,2005年度の生後4か月健診における要支援事例の26.5%は若年出産である。
2003年に北海道養護教員会札幌支部性教育グループが札幌市および近郊の高校生(3567名)を対象に実施した性に関する意識・実態調査では,全体の22.6%が性交体験は「ある」と回答し,とくに高校3年女子においては42.2%にのぼっている。また,性交体験が「ある」者のうち,初交年齢が中学2年時である者は12.8%,中学3年が24.1%であった2)。図1に示したように石狩市は政令指定都市札幌市に隣接しており,この調査結果はわれわれが石狩市の思春期のあり方や子どもの育ちについて再考する契機となったといえる。
本稿では,2つの実態調査を通じて思春期の子どもたちの健康課題を抽出・分析するとともに,学校,家庭,地域にそれぞれの役割があるとの観点から「地域の基盤づくり」に取り組んだ経過について報告する。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.