連載 りれー随筆・153
仕事,楽しんでいますか?
江崎 章子
1
1国立病院九州医療センター消化器外科
pp.534-535
発行日 1997年6月25日
Published Date 1997/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901732
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娘から教えちれたこと
子どもを保育所に預けながら看護学校の教員をしていた頃のことです。一番早く保育所に預けて,迎えに行くのはいつもギリギリ。早く家に帰って食事とお風呂を済ませ,9時までに寝かせないと子どもに疲れがたまって,熱を出されることになります。少しでも早く家に帰りつきたい私の気持ちとは裏腹に,娘はマンホールのところでしゃがんでみたり,木の茂みをくぐりながら歩いたりします。私は時計とにらめっこでイライラしていました。でもある時ふっと思ったんです。子どもと接する時間は朝,夕合わせてわずか3時間たらず。この大切な時間をなぜこんなにイライラしながら過ごさないといけないんだろう。夕食が30分遅れることがそんなに大きな問題なんだろうか。私は本当に何にいらついているんだろうか。
子どもの睡眠時間が少なくなって,体調をこわされると仕事を休むことになり,職場に迷惑をかけることになります。早く寝てくれたほうが残っている自分の仕事も片付きます。私は娘と一緒にいながら,娘を見ようとしていない自分に気がつきました。帰宅の時間が遅れるならば,夕食の準備にかかる時間を短縮すればいいわけです。週末にまとめて下ごしらえしたり,前夜にある程度用意しておけばカバーできるんじゃないかって思いました。自分の睡眠・休息の時間は減るけれど,好きでやっていると思えば疲れ方も違ってきます。子どものために犠牲になるのではなく,子どもと私にプラスとなるために私がどう努力するかと,考え方をかえることにしました。
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