特集 更年期へのストラテジー 更年期を人生の素敵な季節にするために
メディカル・トピックス
ホルモン補充療法(HRT)の現状と将来
麻生 武志
1
1東京医科歯科大学大学院生殖機能協関学
pp.536-541
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100497
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更年期のヘルスケアにおけるホルモン補充療法
■女性のエージングとエストロゲン
更年期には加齢に伴う全般的な変化に卵巣機能の低下が加わり,とくに卵巣機能が停止する閉経後には各種機能系のバランスの乱れが著明になって種々の自他覚的な症状・障害が好発することになる。平均寿命が約85歳に達し閉経後に人生の3分の1を過ごす女性が急速に増加している今日のわが国では,更年期に生じる変化がその後の長期的な健康状態に大きなインパクトを与えることにも注目しなければならない1)。
卵巣機能の低下・停止に伴うエストロゲン欠乏状態に起因する種々の機能障害についての詳細な検討によって,エストロゲンは単に生殖機能に関連するホルモンであるのみならず,恒常性の維持・調節機構を介して,女性の生命維持にもきわめて重要で多彩な作用を有することが明らかになった(図1)。そしてエストロゲンの低下・欠乏を補うことによって,閉経後に顕性化する心身機能のバランスの乱れを調整し,各種機能の急速な低下を防止できることが示されてきた2)。
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