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■要旨
独立行政法人環境再生保全機構は地域住民を対象にぜん息などの予防ならびに当該疾患に関わる患者の健康回復,保持および増進に関する健康相談・健康診査・機能訓練事業の助成を行っている。近年,16歳以上を対象とした健康相談事業は,来談者の減少傾向,個別的な問題への対応の限界などがあり,健康相談事業の改善が必要とされている。
筆者らは,16歳以上のぜん息患者を対象に自治体保健師による「ぜん息テレメディスンシステムを活用した個別・継続的な在宅自己管理支援(以下「モデル健康相談」)事業に関するモデル調査」を実施し,「ぜん息テレメディスンシステム」を活用した健康相談事業の可能性の検討と運営上の課題抽出を行った。
「ぜん息テレメディスンシステム」とは,ぜん息患者が電子式(通信機能付き)ピークフローメータを使用し,定期的に測定データを送付し,保健師は送付されたモニタリングデータを観察し,患者と約束した方法(電話,携帯電話,携帯メールなど)でコンタクトし,健康相談を行うものである。参加自治体は東京都台東区,北区,新宿区,三重県四日市市,大阪府堺市,福岡県大牟田市の6自治体で,保健師や医師からの勧めでぜん息症状のコントロール不良な26名が導入され,観察期間は約2か月であった。
その結果,薬剤に対する知識,吸入手技,治療の順守状況,増悪対処方法,QOLのぜん息増悪因子,アレルゲン回避行動,増悪時対処方法の改善がみられ,本モデル健康相談がぜん息患者の自己管理支援に有効であることが示唆された。運営上の課題は,対象患者基準,導入方法,フォロー期間,自己管理持続効果,医療機関との連携方法,保健師のぜん息専門知識習得,患者教育方法が挙げられた。
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