連載 BOOKS
―「心に響く 保健医療者のコミュニケーション術」蝦名玲子/著―大きな夢の花を咲かせる種
渡邉 多恵子
1
1茨城県石下町総合福祉センター保健課
pp.1002
発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100285
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喜び,驚き,悲しみ,怒り,嫌悪,恐れ…。人間の感情は,言葉では表現しきれないほど多様であり,私たち人間は,毎日,その感情とともに生きている。それは自分だけのものであり,よい感情,悪い感情などと区別できるようなものではない。むしろ,見つめることで,大切なことを自分自身に伝えてくれるものであるはず。それなのに,日頃の保健活動のなかでは,自分のネガティブな感情に対して,否定的になってしまうことが少なくない。
たとえば,住民と向かい合うなかで,相手からの相談が重くつらい内容であればあるほど,その相談に困惑し身動きがとれなくなったりすることはないだろうか。あるいは,職場のなかで不満を感じたとき,その不満を誰にも言い出せず,自分の思いを押しつぶしてしまったりすることはないだろうか。私には,そんなことがよくあった。先に進まず堂々巡りを繰り返す相談活動のなかで無力な自分を見せつけられて自信をなくしたり,誰にも言えない不満をかかえたまま,ノンアサーティブで,ときにアグレッシブになってしまう自分に嫌気がさしたりした。
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