連載 実践に役立つ保健活動の研究技法・3
保健活動に必要な科学的根拠とは
山縣 然太朗
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1山梨大学大学院医学工学総合研究部社会医学講座
pp.1228-1231
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100258
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地域と大学
中村先生が前回書かれた,多くの大学の研究者は現場の声を歓迎しているというのは,まったくそのとおりで,少なくとも私にとっては,現場の声なくして研究なし,の心境である。
私は大学卒業後,共同研究した地域の保健師から保健活動を教わり,地域から現実を学んだ。それは教科書や論文からは学べないものであり,また簡単に学べるものでもなかった。山梨県塩山市(現在は甲州市)で地域住民と行政,大学とが連携して18年間続いている母子保健調査(塩山プロジェクト)は,現場を知らない私を鍛えてくれた。調査してもなかなか住民に還元できるような結果が得られず,調査内容や調査のあり方について,喧々諤々の議論をしてきた。この調査が現在も継続できていることは,何よりも住民の皆さんのご協力と保健師を中心とするスタッフの保健活動に対する熱意によるものである。
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