連載 BOOKS
―「ALS不動の身体と息する機械」立岩真也/著―あなたは「それでも生きよう」といえますか?
野村 由里子
1
1三重県松坂地方県民局保健福祉部(松坂保健所)
pp.372
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100136
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「人工呼吸器はつけない」という患者Mさんのことばに愕然とした。これでいいのだろうか?本人が選択したのだから仕方ない?やりきれない思いが胸にこみ上げる。人工呼吸器を装着して在宅療養するもう1人の患者Kさんが頭によぎる。指1本すら動かない苦悩と倦怠感で「死にたい」と訴え,家族は緊張の続く24時間の介護で体力的にも精神的にも極限状態となっていく。これが療養の現実。保健師として多くのALS(筋萎縮性側索硬化症)患者さんと出会いながら,この選択やこの支援でよかったのか,つねに迷い悩み続けている。
ALSとはいうまでもなく運動神経が侵されて筋肉が萎縮していく進行性の神経難病である。呼吸筋も働かなくなるので人工呼吸器の選択が必要になる。
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