連載 保健師と精神科医との往復書簡・1【新連載】
先生は「保健師の熱意」に困惑されませんでしたか?
ひらす けい
,
S
pp.342-346
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100129
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がん患者として生きる保健師と,地域精神保健活動への助言者である精神科医との間で交わされる往復書簡。援助者としてと同時に患者として,さざなみのように揺れる援助の姿に本物を求める保健師と,援助の検証を深める精神科医との対話から,多くの教訓が引き出されていきます。
S先生
拝啓
澄んだ青空の下で自然が豊かな実りを結ぶ季節がやってきました。私も,森で冬篭りを終えた生き物のように,春から夏にかけての命の躍動を満喫したあと,いまその任務を終えて,再び静かで豊かな森の生活を迎えようとしています。
分子レベルを標的とする新しい抗がん剤のおかげで,覗きかけた深い淵から顔をあげ,いっとき職場にも復帰し,冒険と未知の出来事で一杯の「地域保健活動」という不思議の国を探る生活を楽しむことができました。いま,その生活がひとまず終結し,こうしてまた再び援助について思いをめぐらすことのできる日々が戻ってきています。
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