あくつ論文・講評
あくつ論文とその周辺
鈴木 幹人
1
1法政大学教育学部
pp.39-43
発行日 1970年5月25日
Published Date 1970/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908947
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はじめに
5月初旬,3月に卒業したあくつさんと“看護教育”誌の編集の方とが大学を訪ねられて,あくつさんの卒業論文の全文が同誌に掲載されることとなった話をされた。指導にあたっていたわたくしは,卒直に喜んだのであるが,同時に,看護論とか,看護教育論とかの専門家でないのに,学科の担当者の関係で,指導にあたってきた点もあるので,あくつさんの論文の専門領域における水準を知ることができないことから大変不安にもなった。しかし,編集の方は,この卒論を読まれた上で,学習者の参考として掲載するのだということと,あくつさん自身も,学習する仲間の叩き台にすすんでなりたいという希望を述べられたので,そうした意図を尊重して,審査にあたってくれた吉本正樹教授とも相談して,掲載に賛成したのである。ところが,編集の方は,卒論の指導者としての“講評”も同時に掲載したいから,執筆してほしいということをつけ加えられた。ここで,わたくしは,同じ理由で,もう1度,ためらったのである。事実,わたくしが,看護論や,看護教育論に,注意をむけるようになったのは,ここ2,3年のことである。それは,ぼつぼつと卒論にそうしたものが提出されてきて,よく話題になるようになってきたことと,指導看護婦講習会に手伝いに出るようになってきたこととによる。したがって,あくつさんの論文についても,専門の立場から“講評”するなどということは,その任でないのである。
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