焦点 研究計画の舞台裏
解説
論文作成の足場の組み立てとその周辺
小島 通代
1,2
1東京大学医学部附属病院
2神戸市立看護短期大学
pp.146-154
発行日 1986年1月15日
Published Date 1986/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200869
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1.はじめに
研究論文作成の過程は,建築現場と似ている。建て物を建てる時には,まわりに足場を組んで作業を行なう。足場のもう1つ外側では,建築の構想を立て,建て物の設計図を描き,資金を調達し,人員を整え,資材を購入し,役所に手続きをとり,近所に挨拶をするなどの,外まわりの仕事を行なう。本稿では,筆者の単著の原著論文「脳神経疾患患者における意識-排尿関係図による排尿自立達成時期の予測に関する基礎的研究」1)について,論文作成の過程,いわば建築現場の実情をとりあげる。
上記の論文(以下,本論文あるいは本研究とする)を,筆者は1985年6月に完成し,保健学博士の学位審査のための主論文として東京大学に提出した。そして,同年10月に学位を授与された。これは,筆者にとっての大きなできごとであり,記憶に新しい。また,研究日誌をつけており,指導者との間でとりかわした会話の録音テープ,そのテープを文章化したもの,メモ類などの資料がそのまま残っている。そこで,これらの資料に基づいて,論文作成の足場の組み立てとその周辺を紹介させていただく。
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