指導者の目
人格の観念の確立
西村 秀夫
1
1東京大学教養学部学生部
pp.1
発行日 1963年12月1日
Published Date 1963/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908795
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わたしは哲学者でもなければ,宗教家でもない。大学時代には化学を学んだのに,物よりも人間を相手にすることがすきで,学生を相手に仕事をしている教師の一人にすぎない。
わたしは自分の人間形成の過程をふりかえってみて,本当に人間らしく生きたいと道を求めた旧制高校の時代に,寮の生活で自由に本を読み,友人とぶつかりあい,そしてそのなかから,この人は本当に人間らしいひとであると直観することのできた先生にであい,その先生の生き方から最も大きな影響をうけたことをみとめる。先生のあとに従ってわたしは自分なりの生き方をしてくることができた。先生の聖書による純粋な信仰,神以外の何ものも怖れぬ勇気と,ふみつけられ無視されがちな病者,弱者に対する愛が,わたしを導いた。そしてわたしは今も先生に導かれつつ,聖書を学び,神の御声に耳を傾けながら生きてゆきたいと願っている。教師は自分自身,日毎により入間らしく自分を形成したいと願っているものでなければならないと思っている。
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